ソラは片倉に連れられて、更衣室で着替えを済ませてから階下におり、精肉課のバックヤードに案内された。

 パック詰めや、肉切りをしている社員、パートら数名がいる。
 片倉が大声で作業を中断させて、村野を紹介した。
 職人風の中高年の男性が包丁を手にしたまま、黙って軽く頭を下げた。
 一番年配に見える西田というパートが「若い子が入ってきたから、うちらは助かるわ」と、背中を震わせて笑った。

 それからソラは、片倉とともにバックヤード内の配置を説明されたあと、表に出る。
 既に開店しており、さっそくにぎわう売場を二人で「いらっしゃいませ」と声を張り上げながら、ひと通り歩いて回った。
 今日着任したばかりの社員だと、すれ違う従業員は皆わかるのだろう。ソラに痛いほどの視線を浴びせた。

 ソラは昼食休憩を取ったあと、ひたすらパック作業をし、その後パートの佐野がラベリングした商品から品出しをした。
 物量がやはり多い。商品のバリエーションも中型店より豊富で、とまどいも生じた。
 夕方最後の品出しを終えると片倉に呼ばれた。
「今日は初日やし、こんなもんで。これから事務所に行って店長と話して、そのまま仕事上がって」
「わかりました。お先に失礼します」
 一礼すると、片倉は「また明日。よろしく」と手を上げた。