翌朝、ソラはS店初出勤の日を迎えて、緊張の面持ちで家を出た。
ほぼ予定通り従業員用駐車場にたどりつき、そこから歩いてトラック搬入口のそばにある警備室で事務所への道筋を聞いた。
バックヤードの薄暗い階段を登ると、そこが最初に来るように言われた事務所だった。
ドアをノックして入ると、大勢の人間が開店前の準備でうごめいている。やや気兼ねしながらもソラは、そばにいた男性社員に名乗って店長のいる場所を尋ねると、奥まで案内された。
「私、本日、異動してまいりました、村野です」
ソラは緊張の面持ちで店長である男性に向かって、なるべく胸を張って言い切ると、腰を折ってお辞儀した。
男性はうなずく。
「僕は、店長の加賀見です。よろしく」
それから加賀見は、事務所中央のデスクにいる女性社員の方へ声を掛けた。
「工藤さん、精肉の片倉主任をここへ呼んでもらえるかな」
「はい」
工藤は、すかさず内線電話に手を掛ける。
加賀見は、ソラに向き直った。
「ま、そこの椅子、空いているから、掛けたまえ」
「はい。失礼します」
手で示された回転椅子にソラは腰掛ける。
大型店だけに、事務所の奥行き、そして人員及びデスクの数がそれまでの中型店とは違う。
半面、開店10分前から流される店内放送とBGMは、前任のT店とまったく同じもので、それがかえってソラの違和感を強くしたが、彼は新天地でも通用してみせると奮い立つ材料になると思い返した。
まもなく生鮮食品の制服を身にまとった男性が、事務所に入ってくる。
「店長、おはようございます」
名札に「片倉」とある男性が、頭を軽く下げた。まくった袖から丸太のような太い腕がのぞいている。
「片倉主任、おはよう。こちらが、村野君だ」
ソラはその言葉に反応して、椅子から飛び上がった。
「村野です。今日からお世話になります。よろしくお願いします」
片倉は村野の目を見てから、よろしくといった。
ほぼ予定通り従業員用駐車場にたどりつき、そこから歩いてトラック搬入口のそばにある警備室で事務所への道筋を聞いた。
バックヤードの薄暗い階段を登ると、そこが最初に来るように言われた事務所だった。
ドアをノックして入ると、大勢の人間が開店前の準備でうごめいている。やや気兼ねしながらもソラは、そばにいた男性社員に名乗って店長のいる場所を尋ねると、奥まで案内された。
「私、本日、異動してまいりました、村野です」
ソラは緊張の面持ちで店長である男性に向かって、なるべく胸を張って言い切ると、腰を折ってお辞儀した。
男性はうなずく。
「僕は、店長の加賀見です。よろしく」
それから加賀見は、事務所中央のデスクにいる女性社員の方へ声を掛けた。
「工藤さん、精肉の片倉主任をここへ呼んでもらえるかな」
「はい」
工藤は、すかさず内線電話に手を掛ける。
加賀見は、ソラに向き直った。
「ま、そこの椅子、空いているから、掛けたまえ」
「はい。失礼します」
手で示された回転椅子にソラは腰掛ける。
大型店だけに、事務所の奥行き、そして人員及びデスクの数がそれまでの中型店とは違う。
半面、開店10分前から流される店内放送とBGMは、前任のT店とまったく同じもので、それがかえってソラの違和感を強くしたが、彼は新天地でも通用してみせると奮い立つ材料になると思い返した。
まもなく生鮮食品の制服を身にまとった男性が、事務所に入ってくる。
「店長、おはようございます」
名札に「片倉」とある男性が、頭を軽く下げた。まくった袖から丸太のような太い腕がのぞいている。
「片倉主任、おはよう。こちらが、村野君だ」
ソラはその言葉に反応して、椅子から飛び上がった。
「村野です。今日からお世話になります。よろしくお願いします」
片倉は村野の目を見てから、よろしくといった。