イタイ。頭が痛い。ボーっとした意識を保ちながら顔を起こすと思いにもよらない景色が広がっていた。花瓶が置かれている机が均一に並んでいて黒板が正面にある。何処からどう見ても私が居るここは学校だ。
 どうしてここに居るのだろうか?などと不思議に思うよりも先に本能的にここに居ては行けないと思い、ドアに近づき、引こうと手を伸ばす。 
「ガタ」と鍵が掛かっているようで開く様子はない。
 落下による怪我の恐れもあるが最悪出られたらこの際どうでも良いので窓も確認する。
「ガララ」と音を立てながら開いた。喜びながら顔を出した直後、喜びは私の体外に出て窓の外へと逃げて行った。
 高すぎる。五〜六階辺だろう。猫のような肉球の無いただの人間が飛び降りるには高すぎる。
 逃げ場を失った私はもう一度辺りを見渡す。
 よくよく考えれば何故机に花瓶が置かれているのだろうか。一般的に花瓶を置く際はその人に不幸があった際などが考えられる。