数ある庭で唯一何もない場所。

詩織は鞘からそっと刀を抜くと、柄に力を籠める。

基本的にまじないに呪文は不要。

強く思うことで具現化する。

(刀に力を......!)

詩織が願うことで、刀身に見える白い模様である刃文が青くなっていく。

軽く一振りすると淡い青の光が舞い空へと消えていく。

光を見届けると軽く瞼を下ろして瞳を閉じる。

ゆっくりと長く息を吐くことで雑念が消えて剣技に集中できる。

ゆっくりと瞳を開けると、目には見えぬ敵に向かって刀を構えた。

一歩ずつ横にずれる時も相手の目を見る。

そして、動きを止めた瞬間に刀を振るう。

まじないの効果で剣は軽くなっているので振りやすい。

そして、相手が動いても対応できるように構える体勢、斬新をきめる。

打ち終わった後、相手を威圧することを想像すると分かりやすい。

基本となる剣技の形を練習することで実践でも冷静に対応できる。

動きを確認するように九本の形を終えると、楽にして体を伸ばした。


「うーん!一旦休憩したら、走りこむか」


ただ体を解しただけの休憩を終えると詩織は刀を納めて外へ駆け出して行った。