雨夜は数日前、私が運営している会社にやってきた。

「なんでもしますから、、私を雇ってください。お願いします。」

少女は頭を下げた。

まだ、、ほんの15歳だった。

「あなたになにができるんですか?」

私はわざときつい口調で話した。

「私は、、幼い妹たちを食わせるため、お金がいるんです。私は働かなければならないんです。」

「何故、、此処に来たんですか?」

此処以外にもっと行くところがあるだろう、、。

──何故、、此処なのだ、、。

「私は、、ある人物を、殺すため、此処に来ました。殺し屋の会社に。」

静かに、だが、ハッキリと言った。

「、、何処でそれを、、?」

思わずそう訊いた。

「叔母が情報屋でして。」

しれっと告白した。

そう、、私の会社は表向きは工場。

そして、、裏の仕事は、犯罪コンサルタントだ。

恨みを持つものがそれを晴らすのは、、そいつを殺すしかない、、と私はそう思っている。

だから、この会社を作った。

だが、、その社員に、15歳の少女がなりたい。と言っているのだ。

「、、わかりました。」

私は、そう答えた。

彼女の、冷たくて悲しい目を見ると、私の苦しみと重ねてしまったのだ。

「ありがとうございます!」

勢いよく頭を下げた。

「ですが、条件があります。」

「はい、、なんでしょうか?」

私の言葉に顔を強張らせた。

「この会社、『えいれい社』には、3つの掟があります。それを守ってください。一つ目、犯罪コンサルタントの情報は外部に漏らさないこと。二つ目、自分の意思で人を殺すことはできない。依頼されたもののみ。そして、、三つ目、この仕事で命を落としてはいけない。失敗してもいいです。命を引き換えに、依頼を遂行しないでください。」

「え?!そんな、、失敗してもいいって、、?」

「失敗するよりも、、この会社の社員の皆さんに、命を落として欲しくありません。あなたたちの命の方が、、大切です。」

私は強く強調した。

──もう絶対に、、。

「わかりました。守ります。」

硬い表情の彼女は頷いた。

「では、あなたの名を、決めて下さい。」

「どう言う意味ですか?」

少女は首を傾げ不思議そうに訊いてきた。

「この会社では、仕事をする上でコードネームを使用しています。社員もみんな、コードネームで通っています。そして、、私の名前は、影〔シャドウ〕です。よろしくお願いします。」