坂本健次郎は妻、咲希、息子の圭と暮らしている。

「今日は仕事で遅くなる。」

妻に声をかけ家を出た。

妻の咲希とは結婚して数年が経つ。

息子も大きくなった。

仕事は忙しい。

最近、息を吐く暇もない。

1人で健次郎はため息を吐いた。

家を出てすぐ、健次郎はある女が目に止まった。

「健次郎さん、、。これは、どういうことですか?」

真剣な眼差しを健次郎に向ける。

「どういうって、、。まぁ此処じゃなんだし、違うところへ行こう。カフェでも。」

「朝からですか?、、此処じゃ説明できないんですか?、、奥さんにバレるから?」

大声で彼女は叫んだ。

「わ、、わかった。すまない。、、妻とは別れるつもりだったんだ。」

「嘘、、ですよね、、。」

彼女は俯き、力なく言った。

「結婚していた、なんて、一言も言ってくれなかったじゃないですか!、、どうして、、。」

上にあげた顔には涙がいく筋も光っていた。

「私には、、幼い子もいるし、、。あなたと再婚し、、支え合っていけると、、思っていた。なのに、、どうして?未婚者のフリをして、、私を騙していたなんて!」

「なにをいい加減なことを言っているんだ。オレは、、君のことが大切だと」

「黙って!」

健次郎の言葉に彼女は声を重ねた。

「、、あぁ。お前がそんなヤツだとは思ってなかった。もう、、終わりだ。」

彼女の追求を遮るように、健次郎は言い放った。

その女性は、糸が切れたように地面にへたり込んだ。