このような出来事があった。

しばらくして、救急車が到着した。

健次郎は運ばれて、姉が付き添いで救急車に乗った。

「ありがとうございました。人様に電話をかけさせるなんて、本当にすみません。申し訳ない。」

弟に頭を下げられた。

「いえ、、。気にしないでください。」

友達がそう言った。

「すみません。本当にありがとう。」

「お礼なんて、やめてください。」

思わず私はそう言った。

私に、、お礼を言われる筋合いはない。

「早く、お兄さんのそばに行ってあげた方がいいんじゃないですか?」

友達がそう訊く。

「本当にありがとう。」

何度も私たちに頭を下げたあと、咲希と息子を連れ立って病院へ向かった。

私は黙って見つめた。

そして背を向けて去った。