一緒に。という声音には頼もしさと怖さが同居しているようにも聞こえた。
 大丈夫。彼は三大公爵家当主の九尾の妖狐。一之瀬家が叶うような相手ではない。

「はい。一緒に行きましょう。真之も」
「ああ、そうだな……」

 裕一郎様がぱくりと芋煮を口にする。殺気の臨戦態勢はどこかに消えたようだ。

「……頼りがいがありますね。裕一郎様は」
「惚れた女と俺達の子供を守れないようでは駄目だという事だよ」

 さも当然のように語る彼の顔を、私はじっと眺めながらたこの煮付けを頬張った。

◇ ◇ ◇

 翌日の午前中。私達は一之瀬家の屋敷に足を踏み入れた。
 屋敷から追い出されて以来の訪問。屋敷は以前よりも劣化が進んでいるように見える。

「一之瀬家は家計が困窮していると聞いたが……」

 そういえば真千子が私に金を借りようとしていた事を思い出した。
 きっと何かあったんだろうな。

「あ、あなたは……」

 屋敷の女中さんが私と裕一郎様。裕一郎様が抱いている真之に気が付くとすぐさま屋敷の中に戻ってしまった。