「もうそんな時間か。行こう。桜子さん」
彼の手がとても温かい。私はぎゅっと硬く握りしめて再び会場へと戻る。
会場にはさっきの令嬢達はいなかった。もう帰ったのかもしれないけど……これ以上気にする必要はないか。
「裕一郎様。側にいてください」
ぽつりと無意識に言葉が漏れ出た。裕一郎様は皆の目の前でもう一度、私を抱きしめて口づけを落とす。
招待客からは黄色い歓声が沸き起こった。
「はあっ……」
唇が離れ、口から大きく酸素を吸い込むと、いつもより空気の味が新鮮に思えた。
「俺は彼女を愛しています」
裕一郎様の高らかな宣言。わああああっ! と温かな声に私は安堵に似た気持ちを抱いたのだった。
◇ ◇ ◇
お披露目会を終え、屋敷で真之とも再会した私は彼へ夕食を食べさせた後、屋敷の食堂にて裕一郎様と2人で夕食を取る。
今日は和食の御膳がずらり。どれも美味しくて箸が進む。
「ご当主様。失礼いたします」
食事中、使用人が裕一郎様の元へ手紙を渡す。白い無地の手紙みたいだけど、なんだろう?
しかし宛先を見た裕一郎様は、即座に目元から嫌悪感を露わにする。
「あの……何かありましたか?」
彼の手がとても温かい。私はぎゅっと硬く握りしめて再び会場へと戻る。
会場にはさっきの令嬢達はいなかった。もう帰ったのかもしれないけど……これ以上気にする必要はないか。
「裕一郎様。側にいてください」
ぽつりと無意識に言葉が漏れ出た。裕一郎様は皆の目の前でもう一度、私を抱きしめて口づけを落とす。
招待客からは黄色い歓声が沸き起こった。
「はあっ……」
唇が離れ、口から大きく酸素を吸い込むと、いつもより空気の味が新鮮に思えた。
「俺は彼女を愛しています」
裕一郎様の高らかな宣言。わああああっ! と温かな声に私は安堵に似た気持ちを抱いたのだった。
◇ ◇ ◇
お披露目会を終え、屋敷で真之とも再会した私は彼へ夕食を食べさせた後、屋敷の食堂にて裕一郎様と2人で夕食を取る。
今日は和食の御膳がずらり。どれも美味しくて箸が進む。
「ご当主様。失礼いたします」
食事中、使用人が裕一郎様の元へ手紙を渡す。白い無地の手紙みたいだけど、なんだろう?
しかし宛先を見た裕一郎様は、即座に目元から嫌悪感を露わにする。
「あの……何かありましたか?」