いきなり札束が目の前に出されたのだから、当然私は困った。だってこれじゃあおつりは支払えない。でも彼はにこりと笑っておつりはいりませんから全部受け取ってください。と言った。
「いやいや……いいんですか?」
「これは俺からの気持ちって事でいいよ。それにこれだけあったら冬も越せるだろうし」
人差し指を立てながら語る彼の顔が、今思い出してもたまらなくかっこよかった。
「あの……!」
踵を返そうとする彼を私は何とか引き留める。この時引き留めていなかったら、私はまた違う運命をたどっていたかもしれない。
「あの、何かお礼をさせてください!」
「お礼?」
「はい、ただでこれだけの大金、受け取る訳にもいかないと思ったので……」
という事で連れて行ったのはたまに訪れていたカフェー。夜遅くまで空いているので時々お世話になっている。
「いらっしゃいませ」
黄色の着物を着た女給さんが出迎えてくれた。カフェーにはまだお客さんが何人か来店して飲み物を飲んだりしている。その中には貴族と思わしき高級感溢れる格好をしている人達もいた。
「へえ、君ここ来るんだね」
「はい、たまに。ここのライスカレー美味しいんですよ。ホットケーキも好きです」
「ふうん、いいお店だね。俺、おごってくよ」
「いやいや……いいんですか?」
「これは俺からの気持ちって事でいいよ。それにこれだけあったら冬も越せるだろうし」
人差し指を立てながら語る彼の顔が、今思い出してもたまらなくかっこよかった。
「あの……!」
踵を返そうとする彼を私は何とか引き留める。この時引き留めていなかったら、私はまた違う運命をたどっていたかもしれない。
「あの、何かお礼をさせてください!」
「お礼?」
「はい、ただでこれだけの大金、受け取る訳にもいかないと思ったので……」
という事で連れて行ったのはたまに訪れていたカフェー。夜遅くまで空いているので時々お世話になっている。
「いらっしゃいませ」
黄色の着物を着た女給さんが出迎えてくれた。カフェーにはまだお客さんが何人か来店して飲み物を飲んだりしている。その中には貴族と思わしき高級感溢れる格好をしている人達もいた。
「へえ、君ここ来るんだね」
「はい、たまに。ここのライスカレー美味しいんですよ。ホットケーキも好きです」
「ふうん、いいお店だね。俺、おごってくよ」