「君達……今度桜子さんにそのような事をすれば命は無いと思え」
「っ！　はいっ！」
「桜子さん、いこう」

　私は裕一郎様に腕を引かれてこの場から別の場所へと移動した。そこはさっきいたのとよく似た個室になる。

「桜子さん……俺は君と真之君を守り続ける」
「裕一郎様……私は……」
「俺は君が側にいないといやだ。君のぬくもりを感じていたいんだ」

　ぎゅっと私の身体が裕一郎様に抱き締められる。彼の熱が私の身体全体を覆ってくれているような気がするかも。

「裕一郎様……」

　私は彼の広い背中に手を回す。彼の匂いを嗅いだだけでずっとこのままでいたくなるのはなぜだろう。
　多分、それだけ私は彼の事が好きなんだ。

「私も……あなたの側にいたいです」
「桜子さん……俺は君を離さない」
「はい……」

　唇が触れた瞬間、そのまま深く互いの舌を絡ませて求めあう。裕一郎様の舌と口の中は身体以上に熱い。
　
「……ふっ」

　唇同士が離れていくのと、後ろから裕一郎様！　と分家の方の呼び声が聞こえてくるのが同時だった。