「それで……君達は俺の桜子さんに何を吹き込んでいるんだ？」

　裕一郎様が令嬢達に声をかけながら、私の右肩に手を置いたのはいいんだけど……。目が笑っていなさすぎる。

「ひっ……！」
「ああ、あの……お茶会の誘いを……」
「嘘だね。俺は全部知っているよ」

　ただでさえ顔が青ざめている令嬢達の身体がさらに大きく震え始めた。

「っ！　裕一郎様はどうしてそのお方を気に入ったのですか！」

　でもそこはやはり令嬢達。すぐに裕一郎様へと反抗的な態度を取り始める。そんなに私が裕一郎様とくっつくのが嫌なのか。

「彼女は俺をもてなしてくれたんだ」
「！　もてなしくらい、私達も……！」
「それに話していても楽しいし、俺は彼女を愛している」

　令嬢達は言い返す言葉が見当たらないようだ。だんまりとしている彼女達へ、裕一郎様が何か言うべき事があるのではないか？　と冷たい声音で語る。

「……桜子さん、申し訳ございませんでした……」
「御無礼の程をお許しくださいませ……」
「どうか、お幸せに……」

　裕一郎様に逆らう事が何を意味するのか、彼女達はその辺もきちんと理解していたようだ。悔しさを押し殺しながら私へと次々に謝罪の言葉を投げかけてくる。