「百々公爵家のご当主様だ!」
既に来ていた招待客の貴族達から大きな歓声が上がった。次々に裕一郎様を差す言葉が湧きおこっている。これが三大公爵家のひとつである百々公爵家の力なのか。
「隣にいらしているのが奥方様ね」
「お美しいわあ。どうやらあやかしではなく人間のようね」
「綺麗で素朴な方ね。派手な方だったら嫌だったから良かったわあ」
女性達から向けられる視線が怖い。なんだか品定めをされているような気分になる。
だって百々公爵家の奥方になる女は誰だって気になるものね。それくらいは理解してはいたけど……やっぱり怖い。
「どうかした?」
会場内にある小さな舞台の前に到達しようとしていた時、裕一郎様がそっと声をかけてくれた。
「すみません。怖くなっちゃって」
「俺の手を握ってて。大丈夫だから」
ここは彼の言う通りにしていよう。何かにすがるものがないと、死んでしまいそうなくらいだから。
そして改めて百々公爵家の分家の方にあたる中年くらいの九尾の妖狐が私達を招待客へ紹介してくれた。だけど……私はある事に気が付く。それは私の左前方にいる貴族の令嬢達からの冷ややかな目線だった。
「……っ」
本当は喜ばしい場であるはずなのに、完全に蹴落とされてしまっている。気合を入れなおそうにも、入ってくれない。
既に来ていた招待客の貴族達から大きな歓声が上がった。次々に裕一郎様を差す言葉が湧きおこっている。これが三大公爵家のひとつである百々公爵家の力なのか。
「隣にいらしているのが奥方様ね」
「お美しいわあ。どうやらあやかしではなく人間のようね」
「綺麗で素朴な方ね。派手な方だったら嫌だったから良かったわあ」
女性達から向けられる視線が怖い。なんだか品定めをされているような気分になる。
だって百々公爵家の奥方になる女は誰だって気になるものね。それくらいは理解してはいたけど……やっぱり怖い。
「どうかした?」
会場内にある小さな舞台の前に到達しようとしていた時、裕一郎様がそっと声をかけてくれた。
「すみません。怖くなっちゃって」
「俺の手を握ってて。大丈夫だから」
ここは彼の言う通りにしていよう。何かにすがるものがないと、死んでしまいそうなくらいだから。
そして改めて百々公爵家の分家の方にあたる中年くらいの九尾の妖狐が私達を招待客へ紹介してくれた。だけど……私はある事に気が付く。それは私の左前方にいる貴族の令嬢達からの冷ややかな目線だった。
「……っ」
本当は喜ばしい場であるはずなのに、完全に蹴落とされてしまっている。気合を入れなおそうにも、入ってくれない。