「さあ、行こうか」
屋敷の前には既に黒い馬みたいなあやかしが率いる黒塗りの馬車が停車している。私は裕一郎様から差し出された手を握って乗り込んだ。
「中、広いですね。座席もふかふかしてる」
黒い馬みたいなあやかしの額からは円錐形状の白い角が生えている。上位の貴族がよくこういう馬車を使っているみたい。見た目は不気味だけど思ったよりも従順かもしれない。
「出発してください」
裕一郎様の声掛けからすぐ、馬車はごとごと音を鳴らしながら動き始めた。
「御者の方いないのに動いてる……!」
「彼らはかしこいからね。道も言葉もきちんと覚えているから御者は必要ない」
「へ、へえ……」
徐々に馬車は速度を速めていく。ガラス窓からの景色には大通りを行き交う人々やあやかし達の姿が見えては遠ざかっていった。
「もう着くよ」
馬車が止まり、ドアが裕一郎様の手により開けられた。
「わあ……」
目の前には洋風のホテル。しかもホテルで働いていると思わしき方々達が列をなして出迎えてくれた。
彼らの出迎えを受けた私達は、手を繋いで会場へ足を踏み入れる。
ちょっとだけ……手足が震えてはいるけど。
屋敷の前には既に黒い馬みたいなあやかしが率いる黒塗りの馬車が停車している。私は裕一郎様から差し出された手を握って乗り込んだ。
「中、広いですね。座席もふかふかしてる」
黒い馬みたいなあやかしの額からは円錐形状の白い角が生えている。上位の貴族がよくこういう馬車を使っているみたい。見た目は不気味だけど思ったよりも従順かもしれない。
「出発してください」
裕一郎様の声掛けからすぐ、馬車はごとごと音を鳴らしながら動き始めた。
「御者の方いないのに動いてる……!」
「彼らはかしこいからね。道も言葉もきちんと覚えているから御者は必要ない」
「へ、へえ……」
徐々に馬車は速度を速めていく。ガラス窓からの景色には大通りを行き交う人々やあやかし達の姿が見えては遠ざかっていった。
「もう着くよ」
馬車が止まり、ドアが裕一郎様の手により開けられた。
「わあ……」
目の前には洋風のホテル。しかもホテルで働いていると思わしき方々達が列をなして出迎えてくれた。
彼らの出迎えを受けた私達は、手を繋いで会場へ足を踏み入れる。
ちょっとだけ……手足が震えてはいるけど。