「私も……」

 と、言いかけた瞬間、使用人がご当主様! と大きな声をあげながらこちらへと早歩きで向かってきた。

「どうした?」
「はあっはあっ……失礼しました。あさってのお披露目の会、思ったよりも多くの方々が訪れたいと申し出ておりまして」
「わかった。どうやら桜子さんを見たい人が多いんだな」

 ……お披露目の会があさってにあるって? 初耳だったので私はどういう風に反応していいかよくわからない。

「あの、お披露目の会とは……」
「君をお披露目する会だ。本当はすぐにでも結婚式を挙げたいけど、その前に君を皆へお披露目する必要がある」
「わ、私の……お披露目会……!」

 どうやら私が主役みたい。えっ私が主役……? どうしようか。実感が湧いて来ない。

「っすみません……えっと、実感が湧いて来ないので、どうしたらよいか……」

 いつも実家では妾腹な私は脇役で、正妻の子である真千子が主役だった。だから私が主役だった時は……ない。
 
「そう言う時は喜んでいいんだぞ?」

 ふわりと裕一郎様の尻尾が伸びて、私の肩を抱き締める。