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「桜子さん。ただいま戻りました」

 夜。屋敷に戻っていた私は真之へおかゆを与えていた所に裕一郎様がやって来る。

「あっ、おかえりなさいませ!」

 いけない。玄関でお迎えする予定だったのに忘れてしまっていた……! 

「慌てなくても結構だよ。あと真之君の食事の面倒を見るのは俺が変わろう。君はまだ夕食を食べてないんだろう?」
「えっ、よろしいのですか?」
「ああ、もちろん。真之君は俺達の大事な子だ。君ばかり面倒を見るのもよくはない。協力しないと」

 彼のご厚意に甘え、真之は裕一郎様に託す事にする。

「それにしてもやっぱり真之は裕一郎様とそっくりですね」
「俺もそう思う。成長していく姿が楽しみだ」
「あの……裕一郎様と私の間には、裕一郎様と同じ九尾の妖狐である真之が生まれましたが、こういうのって何か規則性でもあるのでしょうか?」