美しき桜は陽に照らされ夏を過ぎ、真っ赤に染まる秋を過ぎ、寒い冬を乗り越えて春、満開になる。
 四季を彩る桜のように美しい女神がいた。
 とある巫女はその女神が好きだった。
 女神の姿も声もわからない。
 もう何千年、何万年もの前の女神だというのに。
 そして巫女も桜のように美しいと言われていた。
 これは、名も語られることがなかった美しき一人の巫女の物語。