「私は、『なんでもないよ』が好きかな」

バカにされていると思ったのに、彼女は自分の好きな曲を口にする。

まさか、好きな曲を言われるとは思わなかった。

なんて返そうか、考えているとチャイムがなる。

「またね」

花巻は手を軽く振り、自分の席に腰を下ろす。

まさか、新学期早々花巻に話しかけられるとは思わなかった。

それぐらい、関りがなかった。

担任の話をしてから、自己紹介をしなければならないんだろうなと考えを巡らせる。

問題は、自己紹介で何を言うかによって俺の日常が壊れてしまう。

何を言うかは、先生が言った例道理に言えばいいだけだろう。

というか、担任遅くないか?

「あの~、先生呼びに行くか、先に自己紹介をしてしまうかどちらがいいか決めたいと思うんだけどいい?」

教壇の前に立つのは、先ほどまで俺と話していた花巻だった。

花巻は、人の意見をまとめるのがうまかった。

すんなり自己紹介をする流れになってしまった。