「ね、放課後時間ある?」

「あるにはある」

友達一人いない俺は、放課後なんてすることがない。

「じゃあ、教室に残っていてね」

花巻はそれだけ言い残して自分席に戻っていく。

「花巻が、誰一人に話しかけるなんて意外だね」

花巻と入れ替わるように藤崎が話しかけてきた。

藤崎も花巻と同じでクラスの中心人物にいそうなヤツだ。

「クラスの中心人物たちは暇らしいね」

「おッ、住友にも嫌味が言えるんだ」

「言えるよ。俺を何だと思ってるの」

流石に誰だって嫌味ぐらい言える。だけど、それを嫌味だと受け取ってくれるかどうかだ。

このクラスの中心人物たちは、自分と正反対の俺に興味があるのだろうか。

それだったら、俺のほかにも物静かな奴らは山ほどいると思う。

藤崎はニヤッと口を大きく歪ませ、俺をジッと見つめてくる。

「他人にも興味がなければ、自分にも興味がない奴だと思ってた」