「先生、連れてきたよー」

花巻が、教室に入り先生を連れてきたことを報告する。

「住友もサンキュー」

そう言って、肩に手を置いてきたのは、花巻の次に自己紹介していた藤崎だった。

「別に」

「でもさ、今年の担任なんかホワホワしてるくね?」

うん。そこはフォローができない程にホワホワしてると思う。

「うん」

藤崎は、だよなーと笑って自分の席に戻って行った。

結局は何がしたかったんだ?

俺に話しかけたところで何かメリットがあるわけじゃないのに。

「住友~、早く席に座れよ」

この教室に入ってやっと有木先生が先生らしいことを言った。

「はい」

俺は、有木先生の指示に素直に従い席に座る。

「じゃあ、まず自己紹介するね」

有木先生がホワっと微笑む。