「ほら、早く教室に戻るよ」

「はーい」

どっちが有木先生かわからなくなるほどの感じだな。

花巻がしっかりしているし、有木先生もポワポワしてるせいか立場が逆のように思えてしまう。

「あの、先生。自己紹介も委員長を決め終わったのでさっさと教室に行きませんか?」

俺が急に話したことに驚いたのか目を少し見開いてこちらを見つめる。

「君・・・」

なんか、失礼なことを言っただろうか。どちらかというと有木先生の方が問題案件だと思う。

「誰?」

有木先生の口から今更なセリフが出てきた。

「住友です」

「名前は?」

それも言わなきゃいけないのだろうか。しかも、担任になるんだったら生徒の名前ぐらい事前に確認しとけよ。

頭の中で有木先生に対して毒を吐きながら名前を名乗る。

「明夜です」

「へぇ~」

自分から聞いてきたくせに興味がないように相槌を打つ有木先生に苛立ちながら、歩くペースを速める。