「今日から二週間、日本行きのホリデー、という意味」
「だってこれ、私が今日乗る……」
「そうよ。この前検索したらまだ席残ってたから、取った」
 邪気のない顔で笑って、「取っちゃった(笑)」というノリで、さらっととんでもないことを宣言する。
「間違えてなければ、席も隣同士のはず」
 私は慌てて自分の搭乗券を確認した。席番号は確かに、私たち二人で窓際の二列だ。
 啞然としてケイティを見る。向こうはどこ吹く風だ。
「行くの、いつでもいいって言ったでしょ」
「……言ったけど、でもこんな急に来られても、」
「大丈夫、宿泊先はちゃんと自分で予約してるから。さすがにそんな図々しいことはしないって」
 ケイティは証拠とでも言いたげに今度はメールアプリの画面を私に見せた。某民泊交換サイトから届いた予約完了の返信がそこにある。
「だから、本当に、案内役だけでOKよ」
 ケイティはあっさりそう言って、笑顔を見せる。だけど私は今度こそパニックが始まっている。
「そんな……急に決定事項みたいに言われても、計画も何も立ててないのに」
「全部の日とは言ってないでしょ? 何か所か、日本の夏を楽しめる場所とかに一緒に行きたいだけ。あと金箔やわさびのソフトクリームとか苺を食べに行ったり」
 それは覚えてるのね……と、変なところで感心の念が湧いた。