荷物?
何だろうかとぼんやり思って、自分のそれを眺める。去年来た時から二倍の量になっているこれが、自分の成長の表現にもなってるといいのだけど。
階段を駆ける足音が消えた。
もちろん、タクシーはまだ来てない。準備は完了だし、待つ間にすることも特にない。私はしばらく佇んでいた。
何度かスマホを見ようとして、やめる。
建物の外、近辺を見渡す。暗めな色を纏ったその風景には誰もいない。
急に自分一人だけがいるシーンを意識して、内にセンチメンタルなものが湧くのを感じた。
「……!」
瞬きをして髪をまとめて、それを追い出そうとする。
真剣でしっとりしたものなら、昨日味わった。こんな時になって、今になって、溢れさせるものじゃない。ここで悲しみや未練を生んでしまったら、せっかくの成長も学びも過去にとどまったまま錆びていく。これから先、二人お互い頑張るという結束や応援が生きなくなる。
一緒に住むのも、同級生同士であることもここまでだけど、私たちはまだ終わらない。
「うん」
独り言のように言う。
「終わらない」
自分に言い聞かせるように、日本語で言ってみる。それは今、不思議と新鮮に聞こえる。
「むしろ、まだこれからでしょ」
「今、何て言ってたの?」
「わっ!」
急に背後に聞こえた問いに、体がはねた。振り返ると、私の肩に顎を乗せるような姿勢でケイティが接近していた。
何だろうかとぼんやり思って、自分のそれを眺める。去年来た時から二倍の量になっているこれが、自分の成長の表現にもなってるといいのだけど。
階段を駆ける足音が消えた。
もちろん、タクシーはまだ来てない。準備は完了だし、待つ間にすることも特にない。私はしばらく佇んでいた。
何度かスマホを見ようとして、やめる。
建物の外、近辺を見渡す。暗めな色を纏ったその風景には誰もいない。
急に自分一人だけがいるシーンを意識して、内にセンチメンタルなものが湧くのを感じた。
「……!」
瞬きをして髪をまとめて、それを追い出そうとする。
真剣でしっとりしたものなら、昨日味わった。こんな時になって、今になって、溢れさせるものじゃない。ここで悲しみや未練を生んでしまったら、せっかくの成長も学びも過去にとどまったまま錆びていく。これから先、二人お互い頑張るという結束や応援が生きなくなる。
一緒に住むのも、同級生同士であることもここまでだけど、私たちはまだ終わらない。
「うん」
独り言のように言う。
「終わらない」
自分に言い聞かせるように、日本語で言ってみる。それは今、不思議と新鮮に聞こえる。
「むしろ、まだこれからでしょ」
「今、何て言ってたの?」
「わっ!」
急に背後に聞こえた問いに、体がはねた。振り返ると、私の肩に顎を乗せるような姿勢でケイティが接近していた。