ケイティは大きく深呼吸をした。
「そうだと知れてよかった」
 そしてようやく、本当にリラックスしている様子を見せた。
「そういうことについても色々、好きなだけ考えに浸ってから、帰りましょう」
「賛成」
 それが合図みたいに、私たちは並んで寝転んだ。
 より近い芝生の感触と匂いに、自分がここにいることを改めて感じた。
 真上に見える空はフラットの庭で見たものと同じ、でも同時に、何かが違っている。
 名残惜しい。明日以降、私を迎え待つこと、今日までここで一緒にやってきたことを振り返ると。
「……ん」
 日本の映画やドラマならここで夏空に花火の演出になりそうだと、ふと思った。
 でも今はそんな時間じゃないしイギリスは花火の季節じゃない。私たちの前で広がるのは絵画のような涼しい青空とゆったりした街並みだけだった。