タイムトリッパーズ〜いつの時代も必ず君に逢いにいく〜 第一章 YAYOI〜日出づる國の女王〜




「さて、次の手はあるのかい?」
と、老婆はニタニタと歌織に尋ねる。

「次の手も何も、京平は水も食料も受け取ってくれなかった。また忍び込めたとしても突き返されるだろうし・・・折角食べ物を用意してもらったのに申し訳ないけど」
と歌織は話す。

昨晩の出来事は歌織にショックを与えたが、京平の頑固な態度に憤りを感じていた。
留学から帰ってきてから一方的に壁を作られ、どんなに京平を助けたいと訴えても退けられる。
彼の為を思って危険も顧みず行動しているのに、この仕打ちを受け続けるのであれば、もう手を貸さないと開き直っていた。

「でも、牢屋には太市もいるし。京平が拒否しても太市が必要としてるかもしれないよ?太市は汗っかきだから、人より水分が必要かもしれない」
と伊代は言う。
「また牢屋に忍び込めってこと?もうあんな危険は犯せないよ。私まで捕まったら、伊代は一人でやっていけないでしょ。あの調子じゃ詮議もいつ行われるかわからない、見捨てられて餓死するかもしれない、そもそもこの世界からどうやって脱出するのかもわからない。こんな八方塞がりの状態なのに、またあの頑固イカれ人間不信のところに行って罵られなきゃいけないなんて、私は嫌だからね」
「歌織・・・相当怒ってるんだろうけど、言い過ぎだよ。そういうことなら、今度は私が行くよ。私も京平と話をしてみる」
「それこそ無理だよ。伊代は運動神経が抜群に弱いんだから、牢屋の屋根にすら上れないよ」

歌織と伊代の言い合いを一通り聞いていた老婆は、頬を引き攣らせるかのように二人を笑った。
「なんですか、お婆さん?何かおかしいんですか?」
と歌織は喧嘩腰で老婆に問いかける。

「おかしいよ、実におかしい。お客人は考えることがちっぽけだよ、それでいてくだらない。おまえさんはそんなに自分が可愛いのかい?」
「そんなこと、一言も言っていません」
「いいや、言っているね。友達に悪く言われないことを願っている。自分の善意を否定されないこともね。折角友達の為にやったと口では言っているが、思わぬ歓迎を受けたからと友達を批判する。自分を守りたいだけじゃないか。おまえさんにとって一番重要なのは何なんだい?友達の身の安全じゃないのかい」

歌織は反論できず、口を開けたままになる。
伊代も、老婆から出た言葉を強く受け止める。
「そうだよ、歌織。今考えるべきなのは、二人の安全。怒りたくなるのもわかるけど、無事に牢屋を出られたら、京平と思いっきり喧嘩しようよ」
伊代の言葉に、歌織は小さく頷く。

「年の割に、うちの小麻李(コマリ)よりも頭の回転が悪いみたいだね」
と老婆は皮肉る。
「でも婆様、お二人は私よりも勇敢で、お友達を強く信頼されています。私もお二人のような女性を目指したいです」
「はっはっは。うちの小麻李はお世辞がうまいな」