タイムトリッパーズ〜いつの時代も必ず君に逢いにいく〜 第一章 YAYOI〜日出づる國の女王〜




「私たちの知り合いかもしれません!」
と、気づけば歌織が声に出していた。
一斉に大人(たいじん)たちの視線が向けられる。
伊代はその白い視線に縮み上がる。

「控えよ!許しも得ずに話してはならぬ」
と、横に控えていた従者に怒鳴られる歌織。
もちろん、王座の前での礼儀など微塵も知らない歌織は驚き、一旦は口を閉じる。

「話が逸れるではないか。兵長、続けよ」
と、王は不機嫌に話す。
「は。我が王よ、その異国の格好の男たちは、本日陽が傾く頃に詮議(せんぎ)を行う手筈となっておりまする」
「そうか。ではこの件は、その詮議にて詳しく調べよ」
「我が王の、仰せのままに」
と、阿湯太那(アユタナ)は話を終え頭を下げる。

「昼過ぎの詮議ってさ」
と、歌織が伊代に囁く。
「それまで二人には会えないってこと?」
「歌織、落ち着いて。まだ二人かどうか決まったわけじゃないよ」
「私たちみたいな格好をしてるって言ってたじゃん。絶対、太市と京平に決まってる。二人を助けないと」
「でも、牢屋に捕らえられてるって。どうやって助けるの?下手したら、私たちも・・・」

「あぁ、うるさいぞ!誰が発言を許した?」
歌織たちの囁きが王の耳に入り、益々機嫌を悪くする。
大人たちは王の顔色を伺い、いつ怒りが爆発するものかと怯えている。伊代も同様だ。
しかし歌織は他人の機嫌よりも、仲間のことが心配でならず、恐れをどこかに捨ててきたようだ。

「王様、お伺いしてもいいでしょうか!」
歌織の勢いに、横に控える従者達は、前のめりになる歌織を制する。
「そなた、礼を欠くにも程があるぞ」
と、村長と呼ばれていた老人が説教する。

"礼”と言われたところで、弥生時代の礼儀作法など知る由もない。
また無論、王や国家元首に会う機会もあるはずがないので、何をどうすれば礼儀正しいと呼ばれるのか、歌織には見当もつかない。
わかることと言えば、目の前に座っている大人達が先ほどから王に対して見せた行動、言葉遣いだけだ。
それを真似て、王に二人の罪人を助ける許しを得るしかない。

「"我が王よ"・・・?」
「余はそなたの王ではない」
と、奴国王はぶっきらぼうに返す。
葉李菜(ハリナ)姫や阿湯太那が話していたように言ったつもりが、何か間違えたらしい。
戸惑いながらも、歌織は続ける。

「お、王様。お話ししてもよろしいでしょうか」
「手短にな。余はまだ寝足りんのじゃ」
と、王は欠伸を噛み殺す。
「では率直に申し上げます・・・・その男二人に、会わせてもらえませんでしょうか」
「どの男二人だ?」
「さっきの、私たちと似たような格好をしているという・・・・」