タイムトリッパーズ〜いつの時代も必ず君に逢いにいく〜 第一章 YAYOI〜日出づる國の女王〜




「牢屋の生活は辛いか?」
突然、檻の前から声をかけられた。
聞き覚えのある声に振り向くと、二人がこの世界で最初に出会った少女だった。
昨日は兵士のような格好をしていたが、今朝は打って変わり、巫女のような格好をしている。

「涙が出るほど堪えたか。案外弱っちい男だな」
と、少女は巫女の格好に似合わず、大股で腕を組んでいる。

「君は兵士じゃなかったのか?」
と、太市が尋ねる。
「私はこのクニを守っているんだ」
「昨日の格好と、全然違うのはなんで?」
「それは・・・・とにかく、ここでは私に逆らわない方がいい」
と、少女はさらに体を大きく見せるように、胸をピンと張る。

「君、いくつ?」
と、京平が膝を曲げて尋ねる。
「数え十歳だ。だが侮らない方がいい」
「家族は、ここらへんにいるの?」
「罪人たちに教えることはない」
「俺たちは、ここに家族はいないんだ。家族のいる故郷へ帰らないといけない。お母さんたちがとっても心配しているから。俺の気持ち、わかってくれる?」

京平は同情心に訴えかけるように、少女に語りかける。
太市たちと話す時の捻くれた態度とは打って変わり、子供との会話は慣れているようだ。
京平の会話力に、太市は感心して静かに聴いている。
少女は段々と、固い腕組みを緩め、耳を傾ける姿勢を見せ始める。

「お前たちの故郷は・・・・トーキョー、というムラか?」
「そうだよ。東の方にある都市・・・・ムラなんだ」
「そこでお前たちの家族は待っているんだ」
「うん。俺のお母さんは今、一人ぼっちなんだ。とても心配だよ。君は?お母さんやお父さんはいるの?」
「と、父様は・・・・」

綺那李(キナリ)
と、突然少女の背後から低い声が降りかかる。
少女はパッと振り向き、「父様!」と高い声を上げる。
その男は大柄で、筋肉質の腕で軽々と少女を持ち上げ、京平たちから遠ざけた。

「罪人と話してはならん、と何度言えばわかるんだ」
「ご、ごめんなさい・・・・」
「綺那李、朝の祈祷(きとう)はどうした」
「あ、もう、終わって、戻ってきたところ・・・・」
「まだ姫巫女はお戻りになっていない。お前の妹もだ。お前が世話をするべき妹を放って、こんなところで何をしていた?」
「ごめんなさい、父様」

大柄の男は娘を睨みつけ、さらに振り返って京平たちにも鋭い眼光を浴びせた。
京平も太市も、背中がゾワゾワとした感覚に襲われた。

「罪人と、何を話していた?」
「え、えっと・・・・」
「罪人に同情していないだろうな」
少女は震え上がり、言葉が出てこない。