タイムトリッパーズ〜いつの時代も必ず君に逢いにいく〜 第一章 YAYOI〜日出づる國の女王〜




何日間か後、すべての米の収穫の作業が終了し、収穫祭が行われる事となった。

収穫されたばかりの初穂を神に捧げる儀式であり、米から作られた酒や野菜等の供物を祭壇に乗せる。
昼間に巫女達によって神聖な祈りが捧げられた後、日が暮れるまで、場合によっては日没以降も宴が催される。

大人子供関係なく、焚き火の周りで踊り、歌い、収穫したばかりの食物を遠慮なく食する。これが人々の最上の喜びであり、一年で一番の楽しみである。
伊代達も宴に招待され、酒や食事を勧められる。

「此度は其方達のおかげで無事に収穫できたと言っても過言ではない。遠慮なく召し上がれ」
と女王・葉李菜が酒を勧める。

太市と歌織は酒好きであり、この時代の酒を試してみたいと意気込んで盃を差し出した。
口にしてみれば、勿論現代の日本で飲む酒と異なる舌触りに戸惑う。
食事も豪華絢爛と例えるにはいささか物足りず、味付けも薄く冷めた料理ばかりが並んでいる。しかし長い日数を牢獄で暮らしてきた彼らからすれば、料理の味は関係がなく、欲望のままに食べ物を口に掻き込んだ。

伊代達四人の座席は女王のすぐ隣で、本来であればそこはムラ長等の大人達が腰を下ろす場所である。しかしこの日は、そのムラ長の姿はない。

「彼奴も年だからな。これを機にムラ長を退くのも良いと勧めたのだ。今まで数十年にわたってその座を誰にも譲らなかったから、権力に胡座をかいていたことだろう。これからの奴国にそのような人材は不要だ」
と葉李菜は奴国の展望を見つめる。

「京平殿、太市殿、歌織殿については、詮議は行わない事とした」
「え、それってどういう意味ですか?」
「悪い意味ではないぞ。其方達の無実は誰が見ても明白。もともと牢獄に入る事自体がおかしな話だったのだ。先の王の時代に、事実無根の罪で収監された者は多いと聞く。彼らについても重大な詮議は行わず、阿湯太那兵長の指揮の下に過去の罪状を調べた後に釈放する事とした。たとえ本当に罪を犯していたとしても、此度の働きによって我らが助けられたのは事実だからな」

「葉李菜様、ありがとうございます!新女王様、万歳!!」
と太市は声高らかに叫ぶ。
感極まったのか、それとも酔いが回ったのか随分と顔が赤くなっている。