タイムトリッパーズ〜いつの時代も必ず君に逢いにいく〜 第一章 YAYOI〜日出づる國の女王〜







暗闇。

もはや自分が瞼を閉じているのか、開いているのか、わからなくなるほどの闇。
寒さや暑さも感じず、触覚が疎くなっているように思える。
足元に地面のような感触はあるが、体の中の臓器が少し浮いているような、気持ちの悪い心地がする。

「ここ、どこ?」
暗闇の中で、伊代は心細く呟いた。
声を出しているつもりなのに、声は吸収され、遠くまで響いていない。
「歌織!太市!京平!どこ?」
「・・・・伊代?」
小さく、返事が聞こえてくる。
「歌織!歌織だよね?」
伊代は辺りを懸命に見渡すが、姿はどこにも見当たらない。
声がする方を見ようにも、音の方向感覚が麻痺しており、前後左右の何処から声がしているのかがわからない。
「伊代、どこにいるの?」
「ここだよ!ここにいるよ」
「・・・・暗くて、よくわからない」
どうやら、歌織も同じ状況にあるらしい。
伊代は試しに、辺りを彷徨いてみる。
「歌織、どこ?」

「伊代!伊代か?」
続いて、太市の声が耳に入る。
太市は相変わらずよく通る大きな声だが、やはりどの方向から聞こえてくるのかわからない。
「太市!聞こえてるよ」
「どこにいる?」
「ここだよ!ここ」
確実に声は聞こえているのに、太市の居場所も、歌織がどうしているのかすらも、わからない。
一緒にいるはずなのに、とてつもない孤独感に襲われる。
辺りをしばらく彷徨うも、先の見えない虚無感に、伊代はその場で蹲ってしまう。

「伊代!まわりをよく見渡して。何か見えないか?」
太市の一声。伊代は目を凝らして、辺りをよく見渡す。

すると背後に、一筋の光を見つける。
夜の海に浮かび上がる、岬の灯台のような光だ。
その光は動かず、道をさし示しているかのように佇んでいる。

「あの光を目指して歩くんだ。一緒に歩けば、必ず再会はずだ」
「わ、わかった」
「近くに歌織たちはいるか?」
「聞こえてるよ、太市!」
と、頼もしい歌織の声がする。

「京平もいるか?いたら聞いてくれ!向こうに見える光に向かって進むんだ!」
京平からの返事はない。
しかし伊代は、彼を信じて歩き出す。