うらら「澤田〜♡おはよ♡」
あたし、西音寺うらら。小3。今、クラスのイケメンに絶賛片思い中!!
一也「うらら、おはよ〜!」
あ、彼じゃないわよ?井上一也《いのうえかずや》は、澤田の親友。元気すぎるくらい元気で、ムードメーカーみたいな男子。
うらら「井上じゃなくて、澤田!」
一也「え〜、いいじゃん。挨拶くらい。」
海都「…おはよ。」
来たー!澤田海都《さわだかいと》♡明るい井上とは正反対の、クール系男子。冷たくて近寄りがたい雰囲気だけど、そこがいいのよね〜!
澤田はあたしのこと、「西音寺」って呼んでるけど、「うらら」とは呼んでくれないのよね…。なんでだろ。
うらら「澤田、今日もかっこいい♡」
海都「あっそ。」
うらら「何その反応!褒めたのよ?」
海都「知ってるけど、別に嬉しくねーし。」
照れ隠しだと思ったけど、本気で喜んでないみたい。まあ、クラス1のイケメンだから、「かっこいい」なんて言われ慣れてるからだろうけど。
タタタ…
廊下から、足音が聞こえてきた。そして、教室のドアが開いた。
ガラッ
真鈴「うらちゃん!おはよう!」
足音の正体は、あたしの親友・山本真鈴《やまもとまりん》だった。
うらら「真鈴おはよ!」
真鈴はあたしのこと、愛称の「うらちゃん」と呼んでくれる。
真鈴「うらちゃんは良いなぁ!澤田くんとも普通に話せて!」
うらら「真鈴も話しかければいいじゃない。」
真鈴「無理だよ〜。澤田くん冷たいんだもん。」
うらら「それじゃあファン名乗れないでしょ!」
真鈴「酷〜!」
真鈴は澤田の「ファン」で、あたしは澤田が「初恋相手」。言葉は違えど意味はほとんど同じだから、実質ライバルなんだけど、「抜け駆けはしない」を約束に仲良くしてる。
???「真鈴、うらら、おはよう!」
この子も、あたしと同じく澤田が初恋相手の、入江彩良《いりえさら》。彩良は今日、朝の掃除当番で、階段の掃除をしてたから、教室に来るのが遅くなったらしい。
彩良「澤田くん来てる!?」
うらら「とっくに来てるわよ!」
彩良が、澤田の方をチラッと見た。
彩良「澤田くん、やっぱりかっこいいなぁ…」
うらら「分かるわ〜♡」
彩良「澤田くんって、好きな子とかいないのかな…?」
真鈴「どうだろうね。私達3人以外の女子と話してるとこは見たことないけど…」
うらら「澤田にはきっと、とっくに好きな子がいるわ。あたしよ!」
真鈴「そうかな〜?」
うらら「不器用なだけで、本当はあたしに優しく接したいって思ってるはず!」
彩良「うららの妄想通りじゃないといいけど。」
彩良が冷たく言い放った。
うらら「ひど!?」
真鈴「ファン失格って言ったうらちゃんの方が酷いと思うけど?」
そう言って真鈴は、あたしを軽く睨みつけた。
うらら「失格とは言ってないわよ!?名乗れないって言ったの!」
真鈴「同じようなもんでしょ〜。」
うらら「もー!分かったわよっ!あたしが悪かったわ。」
彩良「ちゃんと謝れるとこはしっかりしてるよね。」
うらら「もう謝ったんだからいいでしょ!?」
彩良「はいはい」
彩良は呆れたように言った。
真鈴「でも、確かに澤田くんの好きな人は気になるよね。」
彩良「ていうか、澤田くんの好きな人なんて、クラス中、いや、学年中の女子が知りたがってると思うよ。」
うらら「井上に聞けば分かるかも!澤田と仲いいし!」
真鈴「うらちゃんナイス!ドキドキするなぁ…」キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴り、昼休み。澤田は大抵、井上や他の男子たちとサッカーしに行ってる。でも…
一也「海都、行こうぜ!」
海都「…今は少し、1人にさせてくれ。」
一也「え?いいけど…珍しいな。」
今日は、違った。
真鈴「澤田くん、どうしたんだろう。」
彩良「考え事したいとか?」
うらら「二人共!今がチャンスよ!」
あたしたちは、澤田の元へ向かった。
うらら「あたしが話しかけても冷たいだろうから、彩良が言ってくれない?」
彩良「分かった!…私が告られても知らないよ?」
そう言って、彩良はニヤッと笑った。
うらら「あたしのことはありえないって言ったくせに、自分のことは信じるのね。」
彩良「澤田くん!」
彩良が、澤田に話しかけた。
海都「…何?」
彩良「その、澤田くんって、好きな子とかいる?」
海都「…いきなり何だよ。」
好きな子を聞かれたのに、澤田は変わらず冷静。
彩良「深い意味はないの!ただ聞きたいだけ。」
海都「…あっそ。」
彩良「…で、答えてくれる?」
海都「少しな。」
彩良「うん!」
海都「……」
彩良「澤田くん?」
好きな子を聞いて緊張しているからか、澤田の沈黙が長く感じる。
しばらくして、澤田が口を開いた。
海都「……ない。」
彩良「え?」
さすがの澤田も、好きな子の有無を言うとなると緊張したのか、凄く小さい声だった。
海都「……いなくはない。」
彩良「え!!」
ドクン
その瞬間、あたしたち3人全員の心臓が鳴った気がした。
彩良「え、誰!?」
海都「…西音寺ではない。」
うらら(何それ!?あたしの名前だけハッキリ言ったし!!…さすがに傷つくわよ?)
彩良「え…あ、うん。」
彩良も気まずそうにしてる…
海都「…俺の好きな奴は、入江たちの知らない奴。」
彩良「…そう、なんだ…」
…これで、澤田の好きな子があたしたち3人の誰でもないことが分かった。
…分かってしまった。
うらら(…あたしたち、知らない子に負けたんだ…)
悔しいし悲しいけど、なぜか嬉しい気持ちがあった。
多分、澤田があたしに冷たく接する理由が分かったから。
そりゃ、好きでもない女子に優しくなんてしないし、できないわよね…
うらら(…あんなに冷たい澤田に好かれるって、どんな子なんだろう…)
彩良が戻ってきた。
彩良「…三人共、フラれちゃったね…」
真鈴「せめて、3人の中の誰かだったらなぁ…」
うらら「…あの澤田に好かれる子って、どんな子なんだろ。」
真鈴「さぁ…」
あたし、西音寺うらら。小3。今、クラスのイケメンに絶賛片思い中!!
一也「うらら、おはよ〜!」
あ、彼じゃないわよ?井上一也《いのうえかずや》は、澤田の親友。元気すぎるくらい元気で、ムードメーカーみたいな男子。
うらら「井上じゃなくて、澤田!」
一也「え〜、いいじゃん。挨拶くらい。」
海都「…おはよ。」
来たー!澤田海都《さわだかいと》♡明るい井上とは正反対の、クール系男子。冷たくて近寄りがたい雰囲気だけど、そこがいいのよね〜!
澤田はあたしのこと、「西音寺」って呼んでるけど、「うらら」とは呼んでくれないのよね…。なんでだろ。
うらら「澤田、今日もかっこいい♡」
海都「あっそ。」
うらら「何その反応!褒めたのよ?」
海都「知ってるけど、別に嬉しくねーし。」
照れ隠しだと思ったけど、本気で喜んでないみたい。まあ、クラス1のイケメンだから、「かっこいい」なんて言われ慣れてるからだろうけど。
タタタ…
廊下から、足音が聞こえてきた。そして、教室のドアが開いた。
ガラッ
真鈴「うらちゃん!おはよう!」
足音の正体は、あたしの親友・山本真鈴《やまもとまりん》だった。
うらら「真鈴おはよ!」
真鈴はあたしのこと、愛称の「うらちゃん」と呼んでくれる。
真鈴「うらちゃんは良いなぁ!澤田くんとも普通に話せて!」
うらら「真鈴も話しかければいいじゃない。」
真鈴「無理だよ〜。澤田くん冷たいんだもん。」
うらら「それじゃあファン名乗れないでしょ!」
真鈴「酷〜!」
真鈴は澤田の「ファン」で、あたしは澤田が「初恋相手」。言葉は違えど意味はほとんど同じだから、実質ライバルなんだけど、「抜け駆けはしない」を約束に仲良くしてる。
???「真鈴、うらら、おはよう!」
この子も、あたしと同じく澤田が初恋相手の、入江彩良《いりえさら》。彩良は今日、朝の掃除当番で、階段の掃除をしてたから、教室に来るのが遅くなったらしい。
彩良「澤田くん来てる!?」
うらら「とっくに来てるわよ!」
彩良が、澤田の方をチラッと見た。
彩良「澤田くん、やっぱりかっこいいなぁ…」
うらら「分かるわ〜♡」
彩良「澤田くんって、好きな子とかいないのかな…?」
真鈴「どうだろうね。私達3人以外の女子と話してるとこは見たことないけど…」
うらら「澤田にはきっと、とっくに好きな子がいるわ。あたしよ!」
真鈴「そうかな〜?」
うらら「不器用なだけで、本当はあたしに優しく接したいって思ってるはず!」
彩良「うららの妄想通りじゃないといいけど。」
彩良が冷たく言い放った。
うらら「ひど!?」
真鈴「ファン失格って言ったうらちゃんの方が酷いと思うけど?」
そう言って真鈴は、あたしを軽く睨みつけた。
うらら「失格とは言ってないわよ!?名乗れないって言ったの!」
真鈴「同じようなもんでしょ〜。」
うらら「もー!分かったわよっ!あたしが悪かったわ。」
彩良「ちゃんと謝れるとこはしっかりしてるよね。」
うらら「もう謝ったんだからいいでしょ!?」
彩良「はいはい」
彩良は呆れたように言った。
真鈴「でも、確かに澤田くんの好きな人は気になるよね。」
彩良「ていうか、澤田くんの好きな人なんて、クラス中、いや、学年中の女子が知りたがってると思うよ。」
うらら「井上に聞けば分かるかも!澤田と仲いいし!」
真鈴「うらちゃんナイス!ドキドキするなぁ…」キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴り、昼休み。澤田は大抵、井上や他の男子たちとサッカーしに行ってる。でも…
一也「海都、行こうぜ!」
海都「…今は少し、1人にさせてくれ。」
一也「え?いいけど…珍しいな。」
今日は、違った。
真鈴「澤田くん、どうしたんだろう。」
彩良「考え事したいとか?」
うらら「二人共!今がチャンスよ!」
あたしたちは、澤田の元へ向かった。
うらら「あたしが話しかけても冷たいだろうから、彩良が言ってくれない?」
彩良「分かった!…私が告られても知らないよ?」
そう言って、彩良はニヤッと笑った。
うらら「あたしのことはありえないって言ったくせに、自分のことは信じるのね。」
彩良「澤田くん!」
彩良が、澤田に話しかけた。
海都「…何?」
彩良「その、澤田くんって、好きな子とかいる?」
海都「…いきなり何だよ。」
好きな子を聞かれたのに、澤田は変わらず冷静。
彩良「深い意味はないの!ただ聞きたいだけ。」
海都「…あっそ。」
彩良「…で、答えてくれる?」
海都「少しな。」
彩良「うん!」
海都「……」
彩良「澤田くん?」
好きな子を聞いて緊張しているからか、澤田の沈黙が長く感じる。
しばらくして、澤田が口を開いた。
海都「……ない。」
彩良「え?」
さすがの澤田も、好きな子の有無を言うとなると緊張したのか、凄く小さい声だった。
海都「……いなくはない。」
彩良「え!!」
ドクン
その瞬間、あたしたち3人全員の心臓が鳴った気がした。
彩良「え、誰!?」
海都「…西音寺ではない。」
うらら(何それ!?あたしの名前だけハッキリ言ったし!!…さすがに傷つくわよ?)
彩良「え…あ、うん。」
彩良も気まずそうにしてる…
海都「…俺の好きな奴は、入江たちの知らない奴。」
彩良「…そう、なんだ…」
…これで、澤田の好きな子があたしたち3人の誰でもないことが分かった。
…分かってしまった。
うらら(…あたしたち、知らない子に負けたんだ…)
悔しいし悲しいけど、なぜか嬉しい気持ちがあった。
多分、澤田があたしに冷たく接する理由が分かったから。
そりゃ、好きでもない女子に優しくなんてしないし、できないわよね…
うらら(…あんなに冷たい澤田に好かれるって、どんな子なんだろう…)
彩良が戻ってきた。
彩良「…三人共、フラれちゃったね…」
真鈴「せめて、3人の中の誰かだったらなぁ…」
うらら「…あの澤田に好かれる子って、どんな子なんだろ。」
真鈴「さぁ…」