「ひでぇ、俺は道永をかばったんだぞ?」

「最初に君が僕を陥れようとしたんだろ」

 正論で打ち返され、歯切れの悪い言い訳しか出てこない。

「健太郎等をハメてやろうって誘ったのは、そっちじゃん」

「だからこそ乗った船を降りないと言っている。出された条件を吟味しないうち決断するんじゃない。谷は3日と期限を設けたんだ、考える事を放棄するなよ」

 道永は相関図を改めて手元へ寄せる。

「谷とも中学の頃からの付き合いか?」

「あぁ、谷は中学の頃は道永と同じくらい優等生やってたんだ。けど、親が離婚したあたりからかな? 金を賭けるゲームや女遊びとかーー」

「女遊び?」

「年上のお姉さん達と、まぁ、その」

「……」

 軽蔑の眼差しが額へ突き刺さる。

「俺達も健太郎を励まそうとしたぜ? でも、こういうのは女の方が効果あるじゃん」

「励ますとは具体的に? どんな行動を?」

 もはや尋問。気付くと道永の気迫に押されて正座していた。

「答えろ」

 低い声がコンクリートを這い、びりびり伝わる。

「わ、わざとゲームに負けたり、女装したりかな?」