道永の指が俺のシャツをとめた。相関図を描いていた時は神経質な印象を持ったが、実際に触れてみれば温かい、くすぐったい。

「み、道永だって、黒髪で切れ長一重! マンガみたいなイケメンキャラ!」

「……」

 あげく、鼻筋まで通っている。

「な、何? 人の顔じっと見て。文句があるなら言えよ!」

 まじまじと観察した分、あちらも俺の顔を見つめてきた。

「君が読む漫画は知らないが、間違いなくつまらなそう。遠回しに僕が退屈な人間と言いたいのか?」

「はぁ!? 面白いし!!」

「どうせそのイケメンはヒロインを無条件で溺愛するんだろう? そういうストリーラインは好きじゃない。僕はヒロインが馬鹿な真似すればきちんと躾けるよ」

「……溺愛? 躾? いきなり何を語ってるの? 独り言?」

「まぁ、そんなところ」

 片膝を立てて背中を丸める道永は怒っているのだろうか? 感情が分からない。

「谷からの返信は読んだ?」

 話題が戻り、会話履歴を辿る。

『それは面白い提案だね』

 健太郎はオッケーとのスタンプを押して、好感触。とはいえ文章は続けられる。

『サツキにこんな頭はないと思うけど、道永と口裏を合わせる可能性はあるよね? ツケに同情した道永がオッケー出すとか有り得ない話じゃない。道永は優等生だ』

 健太郎はリーダー的なポジション。頭の回転が早く、唯一ツケが無い。
 その健太郎でも勘違いしている。道永は単なる優等生じゃないんだ。

『こっちからも追加の条件を出してもいい? サツキにも分かるように箇条書きするな』