道永の提案は金銭面では魅力的なものの、仲間を売るみたいで気乗りしない。健太郎なら騙された方が悪いって割り切りそうだけど。

「遊びなんだろう? それとも谷は賭けに乗ってこない?」

「いや、健太郎は面白がって賭けてくるよ」

「なら構わないじゃないか」

「ーーかわいそうじゃない? 友達だぜ?」

「なら僕は可哀想じゃない? もし僕が告白をまとめに受け止めてしまったら、どうするつもりだったの? ほら、携帯電話を寄越しなよ」

「うっ、分かった」

 道永が告白を本気で受け止める事は無いと思うが、こう言われてしまうと返せない。

 道永を屋上へ呼び出すと連絡してやりとりを中断して以降、奴等から一方的なメッセージが届いている。
 道永は真顔でそれらを読むと、眉間を揉んだ。

「『振られたら死んでやるってフェンスから身を乗り出せ』だの『押し倒して既成事実を作れ』とか。はぁ、付き合う友達を選んだ方がいいんじゃないか?」

「いちいち真面目に受け取るなって。俺がこいつ等と一緒に居て楽しいの。道永に言われる筋合いないし」

 プイッとそっぽを向く。

「まさに類は友を呼ぶ、か。いつか取り返しがつかなくなっても知らないぞ」