ーーあれから俺と明がどうなったかというと。

「明が俺のどこを好きになったのかは未だに分からないんだよなぁ〜」

 屋上で青空へ語りかけている。先生に用事を言い付けられた明はまだ来てなくて、相変わらずの優等生で周囲からの信頼が厚い。

 そんな明だが健太郎に俺と一切関わらない約束を取り付けていた。いわく、あの日、気を失っていた健太郎とコレクションの数々を写真におさめて交渉材料にしたらしい。
 田中と山田も健太郎にならい離れていった。

 結果、オレの相関図は様変わりした訳だがーー寂しくはない。まず母さんと少しずつだが向き合う時間を作り、逆ナンしてきた女の子等と図書館で行き合えば挨拶する仲になる。

(図書館って言えば借りたい本があったっけ。帰りに寄ろう)

 この俺が生活態度を改め、試験勉強なんてするようになったのも大きな変化だ。
 髪を黒く染め、ピアスも外した姿は周囲と馴染み。明ほどじゃないものの、話し掛けてくる生徒もチラホラ現れる。

「悪い、待たせたな。今日はどうする?」

 明がやってきた。

「図書館行って、その後はうちに来ない? 母さんがカレー作ってくれた。明にも食べてってさ」

「あぁ、お邪魔させて貰う。図書館はこの間話していた本を借りるのか?」

「うん、学校の図書室には無くて」

 明が俺の家へ出入りしだすと母さんの彼氏が帰って来なくなる。俺としては大歓迎だが、母さんが本当はどう感じているのか分からない。

 俺が明と順調に付き合っているから言うんじゃなく、母さんにも幸せな恋愛をして欲しいんだ。

 母さんを1番に大切にする相手がいれば、その時は祝福したいと思う。