「クリームソーダ、飲みたい?」

 飲料コーナーを通り掛かった際、道永が聞いてきた。

「僕はこういうのを飲まないが、君が欲しいならどうぞ」

 陳列ケースを開けようとする仕草をすかさず遮る。

「いや、いい、要らない、悪いし! 節約してるんだろ?」

 柄にもなく遠慮するのが気に障った道永の眉が寄る。これは確実に怪しまれてる。

「別にペットボトル1本くらいは買える」

「だとしても俺に無駄遣いするのは勿体ないって! 買って貰う理由がねぇよ」

「ーーは、いきなり何? やっぱり谷から連絡があったんじゃ?」

 携帯を見せてみろ、手を伸ばされ思わず隠してしまった。
 道永は賭けをしているから俺と一緒に居るんだ。期待しない、仲良くし過ぎるな、心の中で唱えてストップをかける。

「あれ、サツキ?」

 気まずさは容赦なく重なるみたい。偶然行き交った田中と山田が駆け寄ってきた。
 道永が一緒にいると分かるなり、ニヤニヤを隠さない。

「仲良いなぁ」

「……良くないし。それより田中等は何やってるんだよ」

「山田の家でゲームやるから買い出しに来た。そうだ! サツキも一緒にやる?」

 俺が道永を惚れさせようとしているのを知っていて誘う。妨害する気だ。

「えっと、道永だっけ? お前も一緒にーー」

 カゴ一杯に詰め込んだお菓子とジュースを見せている。その中にはクリームソーダも入っていた。

「僕はいいよ。先に清算して外で待ってるから」