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お互いシャワーを済ませ、道永は自分の部屋、俺はソファーで寝る流れとなる。
雑に放られたブランケットへ包まればミントの香りがした。部屋着も貸して貰い、そこからも道永の匂いがして。清潔感に囲まれるとよく眠れた。
ーーそれから明け方近く。話し声が聞こえ目を覚ます。どうやら道永が誰かと電話をしているみたい。盗み聞きするつもりはなくても静まり返る部屋では響いてくる。
『大丈夫、ちゃんとやれてるから。ああ、うん、分かってる。自炊も慣れたよ』
俺と話す時よりも柔らかい口調。海外出張に行っている親からだろうか?
ブランケットを鼻の下あたりまで下げ、棚の写真立てを見る。入学時に撮られであろう1枚はいかにもなアングル、道永は両親に挟まれキレイな笑顔を浮かべていた。
(道永でも笑うんだなぁ)
考えてみたら俺は笑顔を見ていない。眉間を揉み、しかめっ面ばかりされといる。
『今日は友達が泊まりに来てくれたんだ』
その言葉が聞こえドキッとした。半身を起こし、道永の部屋を伺う。施錠した向こう側から語りは続く。
『何をしてたかって? うーん、夕食を一緒に食べて……それから勉強をしてた。授業で分からない所があって教えて貰ったよ』
お互いシャワーを済ませ、道永は自分の部屋、俺はソファーで寝る流れとなる。
雑に放られたブランケットへ包まればミントの香りがした。部屋着も貸して貰い、そこからも道永の匂いがして。清潔感に囲まれるとよく眠れた。
ーーそれから明け方近く。話し声が聞こえ目を覚ます。どうやら道永が誰かと電話をしているみたい。盗み聞きするつもりはなくても静まり返る部屋では響いてくる。
『大丈夫、ちゃんとやれてるから。ああ、うん、分かってる。自炊も慣れたよ』
俺と話す時よりも柔らかい口調。海外出張に行っている親からだろうか?
ブランケットを鼻の下あたりまで下げ、棚の写真立てを見る。入学時に撮られであろう1枚はいかにもなアングル、道永は両親に挟まれキレイな笑顔を浮かべていた。
(道永でも笑うんだなぁ)
考えてみたら俺は笑顔を見ていない。眉間を揉み、しかめっ面ばかりされといる。
『今日は友達が泊まりに来てくれたんだ』
その言葉が聞こえドキッとした。半身を起こし、道永の部屋を伺う。施錠した向こう側から語りは続く。
『何をしてたかって? うーん、夕食を一緒に食べて……それから勉強をしてた。授業で分からない所があって教えて貰ったよ』