整理整頓が行き届く環境から察するに、1人で生活出来ると親から信頼され、留守を任せられているんだろう。

「……すまない」

「ん? 何が?」

「すまない」

 道永は謝罪理由を言葉にせず、俺も追求しないでおく。

「逆にうちの事情を聞かせてごめん。本当の事を話さないと来てくれないと思って」

 雑炊を一口含むと温かく優しい味が広がる。
 あぁ、この優しさを俺は本能的に嗅ぎ取っていたのかも。あまり噛まずに二口、三口と放る。噛み締めたら付け入った気まずさがしそうで。

「谷達に話していないのか?」

「聞かれたら答えるけど、あいつ等はそういうの聞いてこないし。んー、それにしても雑炊美味い! 使っている出汁がいい! カツオと昆布が効いてる!」

 レンゲをマイクに見立て、適当な食レポをしてみた。

「化学調味料なんだが」

「とか言っちゃって嬉しいくせに〜イケメンで料理上手なんて、こりゃあますますモテますな」

「君に褒められても嬉しくない。普段からジャンクフードばかり食べている舌じゃ、繊細な味を感じられないだろ」

「繊細って自分で言っちゃう?」

「君に比べれば、僕は繊細だろ」

「まぁ、それはそう。でも道永は繊細というか神経質っぽい」

「君といて神経を消耗しない方が無理」

 片肘をつき眉間を揉む。が、これは照れ隠しでも呆れているのでもなく、母さんの話題が反れてホッとしているのかも。

 雑炊を完食した俺等は改めてゲームについて話し合う。