その晩もあいつは夢に出てきて、なにやら楽しそうに話している。俺はやっぱり、ただ聞いているしかなくて。聞いてるだけで幸せなんて、いつの間にあいつにこんなに惚れてたんだろう。
「……なあ」
「ん?」
「お、俺のこと、好きか……?」
話の途中で息継ぎの間、勇気を出して聞いてみた。
「もちろん!」
にっこりと笑うあいつの笑顔が眩しくて……これが現実ならいいなあって思った瞬間、目が覚めた。なんだよ!
「……お、おう」
その日の朝。ざわつく教室であいつに聞こえるだけの音量で、勇気を振り絞ってちいさく言ってみた。
「え?」
きゅるんとした澄んだあいつの丸い目が、俺を見上げている。
「おっ、おはよ……」
「おはよう!」
にっこりと、その笑顔に後光がさした。
俺の夢の中より、もっとずっときれいな笑顔だった。
その日は一日ぼーっとして授業を受けて、ぼーっとして昼飯を食って、ぼーっと帰った。
『おはよう!』
おはようだって。俺みたいなぼっちにもおはようだって!まんべんなくみんなに優しいんだな、あいつ。
でも俺は、なんだかめちゃくちゃに浮かれてしまって、親にまでどうした?とか言われる始末。言えっこない。高二にもなって、夢に出てくるやつと、朝の挨拶を交わしただけ。で、そんだけでこんなに浮かれてるなんて。ちょっとヤバすぎるだろ。でも、はじめて、はじめてあいつが俺だけに向けた言葉は、おはよう!だった。それは特別な砂糖菓子みたいに繊細で甘い。
「……なあ」
「ん?」
「お、俺のこと、好きか……?」
話の途中で息継ぎの間、勇気を出して聞いてみた。
「もちろん!」
にっこりと笑うあいつの笑顔が眩しくて……これが現実ならいいなあって思った瞬間、目が覚めた。なんだよ!
「……お、おう」
その日の朝。ざわつく教室であいつに聞こえるだけの音量で、勇気を振り絞ってちいさく言ってみた。
「え?」
きゅるんとした澄んだあいつの丸い目が、俺を見上げている。
「おっ、おはよ……」
「おはよう!」
にっこりと、その笑顔に後光がさした。
俺の夢の中より、もっとずっときれいな笑顔だった。
その日は一日ぼーっとして授業を受けて、ぼーっとして昼飯を食って、ぼーっと帰った。
『おはよう!』
おはようだって。俺みたいなぼっちにもおはようだって!まんべんなくみんなに優しいんだな、あいつ。
でも俺は、なんだかめちゃくちゃに浮かれてしまって、親にまでどうした?とか言われる始末。言えっこない。高二にもなって、夢に出てくるやつと、朝の挨拶を交わしただけ。で、そんだけでこんなに浮かれてるなんて。ちょっとヤバすぎるだろ。でも、はじめて、はじめてあいつが俺だけに向けた言葉は、おはよう!だった。それは特別な砂糖菓子みたいに繊細で甘い。