やっとのことで三人で教室について、席に座った。
 そこからは、瑛斗くんがまじめなので、普通に勉強が始まる。

 瑛斗くんが読んでというページを読んで例題をして、それから問題解いて、できないところを教えてもらう。そうすると、ここ覚えて、とか、教科書を指されて。
 頭、すっごく使うけど、なんだかすごく、分かりやすい。
 数学の先生は、生徒皆に向けて話すけど、瑛斗くんは、彰くんと私にあわせて話してくれるから。より、分かりやすいんだと思う。

 瑛斗くん、頭も良いとは聞いてたけど……。
 めちゃくちゃ、教え方上手で、ほんとに頭良いんだろうなって、実感。

 この人、カッコいいなあ、ほんと。

「……瑛斗、無理。今の全然分かんない、もっかい」

 そして隣の、カッコよくて、可愛い人は。
 なんだかいつもより、ふにゃふにゃした情けない声を出して、お手上げといった感じで、瑛斗くんを呼んだ。

「全然分かんない?」

 ただいまスパルタな瑛斗くんは、ちょっと低い声で、そう言って、はー、と息をついて苦笑した感じ。

「うー、ごめんー、もいっかい言って。ていうか、マネージャーは今の分かったの?」

 うう、と半分泣くんじゃないかという、困り顔で私を見てくる。

「あ、今のは大丈夫、分かった」

 そう言うと、「えええーマジでー??」と、彰くん。

「じゃあマネージャーはこっちの問題やっといて」

 瑛斗くんに、ワークの問題を指されて、「分かりました」と頷くと。

「何で敬語?」

 くす、と笑って、瑛斗くんに見下ろされると。
 ……何だろう、もう、イケメンに見下ろされて、クスッと笑われるとか、はっきり言って、破壊力がすごすぎて、心臓が痛い。

 なんだか無駄にドキドキしてしまうけど、別に私は、瑛斗くんのことも、彰くんのことも、そういう意味では好きではない。それでも、こんなにドキドキさせてくれちゃう、カッコよさに、感動まで覚えるけど。

「どっから分かんなかった?」
「……それが分かんないから、最初から説明して?」
「たく……」
「ごめんー」

 あまえんぼみたいな。ていうか、私にはそう聞こえてしまうだけかもだけど。そんな、声で、彰くんが言って、瑛斗くんの声は、ちょっと呆れてるみたいな声、なんだけど。

 瑛斗くんが、彰くんのすぐ近くに椅子を持って行って座った。
 ちょうど私からは、彰くんの横顔と、瑛斗くんの正面からの顔が見える感じ。
 と言っても、目の端に映ってるだけで、まだ見てない。私は解いてと言われた問題をただひたすら、ノートに書いていく。

「……彰、そっから違う」
「え、ここ?」
「そう」
「えー……」

 私の邪魔にならないように、なのか、なんだか、静かに囁くみたいな声で言い合ってる。……なんか。ちょっと、アヤシくて。やーん、何、この空間。
 ドキドキしちゃうんですけど。
 問題が進まないー解けないー多分いつもよりももっと働かなくなってる頭に、焦るほど、よく分からない。

「マネージャーできてる?」
「……今、考え中、です」
「だから何で敬語……?」

 そんな言葉に、つい、ふと二人の方を見てしまうと。
 イケメン二人が、私の方を見て、クスクス笑ってる。それだけだって、ああもう、と思うのに。

「彰は笑ってる場合か」
「いて」

 めちゃくちゃ優しく、こつん、と頭に触れた瑛斗くんに、彰くんは、むー、と膨らんでるし。

「ほら、早く次」
「もー……たたくなよー」
「痛くないだろが」

 苦笑する瑛斗くんに、あは、と笑って、「痛くないけど」と彰くん。
 早くやれよ、と瑛斗くんが彰くんに優しく笑うところまで、ばっちり見てしまった。

 何これ。もう。
 ほんとに。
 「尊い」しかない気持ち。

 ……録画して、友達皆に見せて、感想を聞きたい……。
 説明して伝わらないよう……。