そんなことを口に出したら、気分を害してしまうだろうから、言わなかったけれど。

 まぁ、言うにしても、夜、改めて会ってからだ。

 今、言うことではない。

「何時でもいいよ。じゃ、終わったら連絡くれ」

「ああ」

 それで玲望はさっさとレジで会計をして、「じゃ」とだけ言って、先に出ていった。

 たった数分のやり取り。

 なのに幸運なことにも、夜、会えることになってしまった。

 降って湧いた幸運ともいえる。

 楽しみが待っていると思えば急にやる気まで出てきた。

 俺も頑張って夜までにレポート、仕上げないとな。

 半端なまま向かうなんて情けない。

 やることはきっちり終わらせなければ。

 思って、アイスを早く選んで帰ろうとしたのだけど。

 ちょっと違うことが思い浮かんだ。

 数秒だけ迷って、瑞希が掴んだのは、ふたつのアイスであった。