「まぁ、仕方ないだろ。それにえらいな」

 瑞希は笑ったのちに、そう言った。

 玲望は何故褒められたかわからない、という顔をする。

「なにがだよ」

「いや? ちゃんと働いてんだなって」

 褒めたのに、それには視線を逸らされた。

「バイトなんだから、働くに決まってるだろ」

 素っ気なく言われた言葉は、明らかにちょっとくすぐったく思っているときの声で。

 瑞希はもう一度くすっと笑ってしまった。

 今度は少しだけ。

 あまり笑うと怒らせるから。

「瑞希はどうせ、腹が減ってアイスでも買いに来たんだろ」

 誤魔化すように言われたけれど、酷い言い様である。

 瑞希は膨れて見せた。

「酷いな、ひとを自堕落みたいに」

 立ち話をしていたけれど、コンビニ内ではほかの客の邪魔になるうえに、玲望はバイトを抜けておつかいにきているのだ。

 早く戻らなければいけないのだろう。

 その通りに「ま、俺はそろそろ戻るから」と、たった、二、三分話しただけで言われた。