「トイレに置いとく用のやつ。発注を間違えてて切らしたんだよ。客も使うとこだから、無いと『手を抜いてる』と思われる可能性がある、なんてさ」

「なるほど」

 その説明で納得できた。

 急ぎでひとつだけ欲しかった、それでコンビニでいいから行ってきてくれと頼まれた。

 そういうことだ。

「ったく、コンビニじゃ高いのにな。いくら急ぎだっていっても」

 おつかいなのだから、勿論、店からお金をもらってきただろう。

 だから自分が損をするわけでもないのに、玲望は不満げ。

 瑞希はくつくつと笑ってしまう。

 節約家の玲望。

 自分用ではないにしろ、贅沢をするような気持ちになってしまったのだろう。

 それがいかにも玲望らしい。

 でも仕方がないだろう。

 このあたりにはドラッグストアやホームセンターなどの、安く売られている店がない。

 一番近くの店でも数キロは離れているから、自転車か車でもないとちょっと不便なところだ。

 だから急ぎで手に入れるには向かないというわけ。