「なんだ、こんなとこで。偶然だな」

 面倒だと思ったのに、来てよかったな。

 単純にもそう思ってしまう。

「なにか買い物か?」

 アイスケースから視線を離して、玲望に向き合う。

 玲望はなんでもないように、頷いた。

「ああ……おつかい。バイトの」

 そういえば玲望はバイトのときによく着ているラフな格好をしている。

 この上にエプロンをつけて店に立つのだ。

「バイト? おつかい?」

 しかし言われたことはよくわからなかった。

 どうしてバイトでおつかいになんてやられるというのか。

 おまけにコンビニに。

 玲望は瑞希の疑問も当然のものだと思ってくれたのだろう。

 持っていたものをちょっと掲げた。

 そこには消臭剤が握られている。

 ドラッグストアでも売っている、ポピュラーなものだ。