「らっしゃいませー」

 ぴんぽん、という入り口のチャイムをくぐった瑞希を迎えたのは、店員の気の抜けた声だった。

 いつかのコンビニでもそうだったような、不真面目なタイプの店員らしい。

 まったく、真面目にやりゃいいのに、なんて思って、瑞希はあのときのことを思い出しておかしくなった。

 おかしくなれば、不快な気持ちも湧かない。

 さっさとアイスケースに向かって、中を覗き込む。

 夏の折なのだから、種類豊富にあった。

 さて、なににするか……。

 たっぷり入ったカップタイプか。

 ちょっと凝った、ソフトクリームのような形のものや、クッキーにサンドしてあるものもある。

 味も問題だ。

 こっくりとしたチョコなど。

 もしくはさっぱりと氷菓。

 どれも魅力的に見えてしまって、悩んでしまっていたのだけど。

 ぽん、といきなり肩になにかが触れた。

 瑞希はどきっとした。

 その手つきは親しい触れ方だったものだから。

 ばっと振り返ると、そこにいたのは何故か玲望であった。

 どうして、節約家の玲望は全体的に価格が高めのコンビニなどには、滅多に来ないのに。

「よう、瑞希」

 玲望は微笑を浮かべていた。

 その笑みに、瑞希の心は一瞬で上向いた。