午後も参加すると言っていた玲望。

 でも本当は、それほど必死に勉強をしなくてもいい……。

 玲望の進路は既に聞いていた。

 専門学校だ。

 料理上手な玲望。

 調理の専門学校に行って、調理師の資格を取るつもりだと言っていた。

 まぁ妥当で堅実である。

 得意なことを生かせるのだし、それなら専門学校の勉強も楽しめるだろうし、そして卒業後の就職先も心配ないだろう。

 玲望が大学進学志望ではないのは、単に大学進学には金がかかるからで、玲望の家からそれを工面してもらうのは難しいからなのであるが、例によって玲望は気にした様子もなかった。

「仕事が苦じゃなくなるだろうし、それに調理師ってなかなか稼げるらしいんだぜ。なんせ資格がいるんだからな」

 そんなふうに話した。

 合理的な玲望らしいことだ。

 けれど。

 瑞希はたまに思うのだった。

 玲望は勉強が苦手ではない。

 いや、むしろできるほうだ。

 学年トップなんてものではないけれど、クラスでは上位に近いと聞いていた。

 そんな玲望なのだから、本当は……家に経済的な余裕があったら。

 大学進学したいと思う気持ちもあったのではないだろうか。

 もっと勉強ができるのだし、学校やサークルなど楽しいことも多いだろうし、それに俗な話だが、卒業後に手に入る学歴としてだって専門学校より上だ。

 割り切るのが上手く、家が貧しいことだって受け入れている玲望のことだから、そんなことは口にしないだろうけれど。