内容は通常学期の中の授業とは少し違う。

 教師の話を聞くよりも、ワークなど、自分で取り組む勉強が主なのだ。

 わからないことがあれば、手をあげて質問していい。

 なので、教室ではたまに「センセー」と呼ぶ生徒の声がしたり、教師がそれに応えて解説する声が小さく聞こえてきたりする。

 普段とだいぶ違った空気の教室内。

 瑞希も瑞希で、ワークを進めていた。

 一時限目は数学。

 数学はあまり得意ではないのだ。

 けれどそれだけに重点的に取り組まなければいけない。

 億劫ではあるけれど、そのために来ているのだから、やるだけだ。

 一時間、真面目に取り組んで、休憩を挟んで二時限目。

 次は現代文だった。

 こちらは得意なので億劫どころか楽しくできる科目だ。

 けれど数学で頭を使いすぎたせいか、集中力が少し低下しているような気がした。

 こういうとき無理にやろうとしても効率が悪い。

 よって瑞希は問題を解くペースを少し落とした。

 それだけでなく、長文だけでなく漢字問題のページを選ぶ。

 長文読解よりは頭を使うことが少ないからだ。

 漢字を思い出しつつ書きながら、瑞希は朝、昇降口で玲望とちょっとだけ話したことを思い出してしまった。