暑い季節はたまにそうしているように、金色の艶やかな髪はうしろでひとつにくくられていた。

 そういう髪型をすると余計にかわいらしく見えるので、瑞希は夏の玲望の姿も好きだった。

「ああ、おはよう。珍しく早いな」

 けれど言うことはちょっとひねた玲望の物言いそのままだったので、いつものこととはいえ、おかしくなってしまう。

 朝から会えて嬉しいと思っていたのに。

 いや、こういうのが玲望だから嬉しいけれど。

「珍しくは余計だっての」

 なので瑞希もいつも通りの返しをして、校内に上がる。

 自分の靴箱に脱いだ靴を突っ込んだ。

 玲望は当たり前のように、廊下に出て待っていてくれる。

 さっさと行ってしまってもいいのに、こうして待っていてくれるところが優しいのだ。

 一緒に教室の近くまで行こうということだろう。

 クラスは違ってもすぐ隣なのだから。