去年は合宿へ行った。

 海へ行ったのだ。

 勿論、海の清掃活動をした。

 近くの小学校の生徒相手に、ウォークラリー大会なども催した。

 どちらもなかなか好評を博した。

 しかし高校生の合宿なのだ。

 同じくらい、大いに遊んだ。

 海で泳いだし、夜は近くの森で肝試しなんかもした。

 それでなくとも泊まりというだけで楽しいものだ。

 今年もそういうものをしてみたい、と瑞希は思うのだった。

 それはリーダー的存在の生徒だけでなく、出来る限り部員全員を集めて会議をしたいと思う。

 特に、今年初めて参加する一年生からは、初参加ならではの違う視点の意見が出るかもしれないし。

 そういうものを聞くのも参考になるだろう。

「じゃ、今週はそんな感じで」

 書記をしていた二年生が、部室のホワイトボードに今週の予定を記入し終えるのを見て、瑞希は言った。

 これで今日の活動は終わりである。

「はい、部長」

 おつかれーっす、という言葉が溢れて、真面目に打ち合わせをしていた空気から一転、部室に緩やかな空気が流れた。

「俺は用があるからもう帰るなー」

 使っていた筆記用具などを鞄に詰め込んで、瑞希は言った。

「戸締りきちっとしてくれよ、じゃーなー」

 別に部長といえども毎日最後まで残るわけではない。

 鍵を持っている生徒がいれば、その子に任せて構わないのである。

 よって瑞希はさっさと部室を出た。

 まだちらほらと生徒がゆく廊下を歩く。

 今日はやることがあるのだ。

 放課後、玲望の家に行くという大事な用事が。