居室の座布団に座って、ちゃぶ台に持ってきた荷物を置く。
バッグに入れてきたのは布の包み。
弁当を包むのに使う布にはタッパーがくるまれていた。
布をほどいてタッパーを開ける。
やってきた玲望がちょっと目を丸くした。
「これ。こないだの詫びに」
タッパーには、綺麗に焼けたパウンドケーキが丸々入っていた。
玲望の前にそっと出す。
「こないだは悪かった」
言った。
玲望はしばらく黙っていた。
「これ、……お前が作ったの」
手作りなのはわかっただろう。
こんなタッパーに入れられているのもそうだし、市販のもののように整ってもいない。
「ああ。味見してないから美味いかわからないけど……玲望のレシピなんだ。美味いと思う」
その言葉で瑞希が玲望のくれたプリントを見て作ったことを知ったのだろう。
玲望の顔が歪んだ。
今度のそれは、なんだかどこかが痛むというようなもので。
「ありがと。……」
お礼を言ってくれたものの、玲望は黙った。
口が動いて、でも閉じて、また動いて……とする。
瑞希はただそれを待った。
「……俺こそ悪かったよ」
やっと出てきた。
おまけにそれは瑞希と和解してくれるものだった。
ほっとした。
瑞希の心の中に安堵が溢れる。
「片付けてきた」
「そう」
瑞希はそれだけ言ったし、玲望もそうとしか言わなかった。
でも伝わっただろう。
瑞希が告白のようなものに返事をしてきたことを。
ちゃんと『相手がいる』と言ったことを。
バッグに入れてきたのは布の包み。
弁当を包むのに使う布にはタッパーがくるまれていた。
布をほどいてタッパーを開ける。
やってきた玲望がちょっと目を丸くした。
「これ。こないだの詫びに」
タッパーには、綺麗に焼けたパウンドケーキが丸々入っていた。
玲望の前にそっと出す。
「こないだは悪かった」
言った。
玲望はしばらく黙っていた。
「これ、……お前が作ったの」
手作りなのはわかっただろう。
こんなタッパーに入れられているのもそうだし、市販のもののように整ってもいない。
「ああ。味見してないから美味いかわからないけど……玲望のレシピなんだ。美味いと思う」
その言葉で瑞希が玲望のくれたプリントを見て作ったことを知ったのだろう。
玲望の顔が歪んだ。
今度のそれは、なんだかどこかが痛むというようなもので。
「ありがと。……」
お礼を言ってくれたものの、玲望は黙った。
口が動いて、でも閉じて、また動いて……とする。
瑞希はただそれを待った。
「……俺こそ悪かったよ」
やっと出てきた。
おまけにそれは瑞希と和解してくれるものだった。
ほっとした。
瑞希の心の中に安堵が溢れる。
「片付けてきた」
「そう」
瑞希はそれだけ言ったし、玲望もそうとしか言わなかった。
でも伝わっただろう。
瑞希が告白のようなものに返事をしてきたことを。
ちゃんと『相手がいる』と言ったことを。