ぴんぽん。

 軽快な音があたりに響いた。

 普段なら大声で玲望を呼ぶのだけど、今はできない。

 迷惑になる以上に、今の自分にはそうする資格がないからだ。

 ぱたぱたと中から近付いてくる音がして、数秒。

 ドアスコープ……内側から覗いて訪問者を見られるアレ……から誰なのかを確かめているのだろう。

 拒絶されるだろうか。

 その数秒でひやひやしてしまった。

 けれど運良くドアは開いた。

 顔を見せてくれたのは、勿論玲望。

 気まずそうな顔をしていた。

「……よう」

 瑞希が挨拶をすると、ちょっと眉を寄せたけれど「ああ」と言ってくれる。

 楽しそうではないけれど、あのあとではそうだろう。

 反応してくれただけでも、出てくれただけでも上出来だ。

 そして多分、受け入れてくれるつもり、だろう。

 思って、瑞希は切り出した。

「邪魔しても、いい?」